夜中の2時。
家の中はしんと静まり返っていて、
遠くで冷蔵庫の音だけがかすかに響いている。
眠れない夜、私はよく誰かのことを思い出します。
友人の笑顔、家族の横顔、
もう何年も会っていない人の名前。
昼間は忙しくて、そんなことを考える暇もないけれど、
夜になると、心の奥にしまっていたものが
そっと顔を出すのです。
眠れない夜は、心がやわらかくなる時間
不思議と、眠れない夜は
いつもより少しだけ優しくなれる気がします。
昼間の私は、効率を考えたり、予定をこなしたり、
「ちゃんとしなきゃ」と肩に力が入っている。
でも夜は、そんな鎧を脱いで、
ありのままの自分に戻れる時間。
人に言えなかった本音や、
伝えそびれた“ありがとう”を思い出すのも、
だいたいこんな夜です。
きっと心が、静かになると同時に、
「本当はどう感じているの?」と
自分に問いかけているのでしょう。
誰かを想うことは、自分を癒すこと
眠れない夜に誰かを思うとき、
それは同時に、自分の心をあたためている時間でもあります。
「あの人、元気かな」
「今ごろどうしてるんだろう」
そうやって思い浮かべると、
不思議と少しだけ心が落ち着いてくる。
眠りに入る前の静けさの中で、
“誰かを大切に思う”という感情は、
小さな灯りのようにやさしく灯ります。
その灯りが、心の奥に残っていると、
眠れなくても、ちゃんと安心できる。
眠れない夜を、嫌わなくていい
眠れない夜は、何かが足りない時間ではなくて、
心が少し立ち止まっている時間。
焦らなくてもいいし、
無理に眠ろうとしなくてもいい。
本を読んでもいいし、
好きな香りを部屋に広げてもいい。
ただ静かに、心の声を聞いてみる。
「今日はここまででいいよ」
「がんばりすぎてたね」
そんなふうに、自分に優しく語りかけられたら、
それだけで十分。
眠れない夜も、ちゃんと意味のある時間になります。
夜が明けるころ、心は少し軽くなる
空がうっすら白み始めるころ、
ようやくまぶたが重くなってくることがあります。
あぁ、もうすぐ朝だ。
そんな瞬間に、ほんの少しの安堵を感じる。
たとえ十分に眠れなくても、
夜を静かに過ごせたなら、それでいい。
あなたの心は、ちゃんと休めている。
眠れない夜を経て、
人は少しずつやさしくなっていくのかもしれません。
誰かを想う力も、自分を受け入れる力も、
そんな夜の中で育っていくのだと思います。
おわりに
眠れない夜。
それは、心が世界とつながる時間でもあります。
遠く離れた誰かも、
同じように眠れずに夜を過ごしているかもしれない。
そう思うと、少しだけ心があたたかくなります。
だから、眠れない夜を嫌わないでください。
静かな夜の中に、
人のぬくもりや思いやりの種が、きっと隠れています。
今日も、あなたの心が
やさしくあたたまりますように。

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